Clásicos japoneses con furigana
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ろうば
老婆
小川 未明
Lee 老婆 (ろうば) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 5436 caracteres · 11 pantallas
私は遽かに好奇心が湧いた――早く家に帰って留守の間に、総ての秘密を探ってやろう、大股に歩いて家に帰るといつの間にやら婆さんは私よりも先に帰って、やはり彼方向きになって黙って坐っていた。私はどっきりと胸に応えて、何も口に出す勇気がなく二階に上るとどっかと其処に疲れた足を投げ出して、両手を組んで考えざるを得なかった。
いったい下の婆は何者だろう――却って茫然とした、あの罪がないような顔が、獰悪の面構よりも意味ありげに思われて、一刻も居堪らない。それから私は思う所あって、今自分が現にいる室の裡を隅から隅まで一々検べて見た。けれど青い壁紙と、いつ張り換えたか分らない黒く煤けた障子が目に映るばかりで、戸棚の隅などには埃が溜っている。鼠の喰い破った穴が明いていて蜘蛛の巣が天井張にかかって吊下っているのを見たばかり……次に私は畳の上を検べて見たが、これとて、湿気臭いばかりで隅の足跡の触らぬ方が白く黴ている。しかし私が心配したような血痕などは目に入らなかった。もうこの畳は幾十年たったか分らぬ程古かった。又青紙の貼てない黄色な壁の上には優曇華が咲いていた。この花が咲くというと常と変ったことがあるという。