Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lee 耽溺 (たんでき) de 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 55.597 caracteres · 110 pantallas

Aozora Bunko

すると吉弥がそばから、

「まさか、絶句はしない、わ」と、答えたのを思い出した。

「しばらく御ぶさた致し候。まずはおかわりもなく、御つとめなされ候よし、かげながら祝しおり候。さてとや、このほどよりの御はなし、母よりうけたまわり、うれしく存じ候」

てッきり、例の区役所先生に送るのだと分った。「うれしく」とは、一緒になることが定まっているのだろう。もっとも、僕はその人が承知して女優になるのを許せば、それでかまわないとも考えていたのだ。

そのつづき、――

「ちかきうちに私も帰り申し候につき、くわしきことはお目もじの上申しあげそうろう。かしく。きくより」

菊とは吉弥の本名だ。さすが、当て名は書いてない。

「馬鹿野郎! 人の前でのろけを書きゃアがった、な」

「のろけじゃアないことよ、御無沙汰しているから、お詫びの手紙だ、わ」

「『母より承わり、うれしく』だ――当て名を書け、当て名を! 隠したッて知れてらア」

「じゃア、書く、わ」笑いながら、「うわ封を書いて頂戴よ」と言って、かの女の筆を入れたのは「野沢さま」というのである。

僕はその封筒のおもてに浅草区千束町○丁目○番地渡瀬(これは吉弥の家)方野沢様と記してやった。