Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lee 耽溺 (たんでき) de 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 55.597 caracteres · 110 pantallas

Aozora Bunko

「奥さん、奥さん」と言われていれば、さほど憎くもない様子だ。いろいろうち解けた話もしていれば、また二人一緒になって、僕の悪口――妻のは鋭いが、吉弥のは弱い――を、僕の面前で言っていた。

「長くここへ来ているの?」

「いいえ、去年の九月に」

「はやるの?」

「ええ、どこででもきイちゃんきイちゃんて言ってくれてよ」

「そう」と、あざ笑って、「はやりッ子だ、ねえ。――いくつ?」

「二十七」僕はこれを聴いて、吉弥が割合いに正直に出ていると思った。

「学校ははいったの?」

「いいえ」

「新聞は読めて?」

「仮名をひろって読みます、わ」

「それで役者になれるの?」

「そりゃアどうだか分りませんが、朋輩同志で舞台へ出たことはあるのよ」

二人はこんな問答もあった。

僕は、帰京したら、ひょッとすると再び来ないで済ませるかも知れないと思ったから、持って来た書籍のうち、最も入用があるのだけを取り出して、風呂敷包みの手荷物を拵えた。

遅くなるから、遅くなるからと、たびたび催促はされたが、何だか気が進まないので、まアいい、まアいいと時間を延ばし、――昼飯を過ぎ、――また晩飯を喫してから、――出発した。