Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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のうのなかのれいじん

脳の中の麗人

海野 十三

Lee 脳の中の麗人 (のうのなかのれいじん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.774 caracteres · 28 pantallas

Aozora Bunko

そして帽子の下からのぞいている大きな眼だ。その大きな眼が、宮川をじっと見つめていたのである。

「うむ」

宮川は、なんとなく襲われるような気持で、おもわず呻った。

気のせいか、その怪しげなる男も、なんだかぶるぶる身体をふるわせているようであった。

宮川は、石段をふんで、駈けあがった。そして境内へどんどん入っていった。社殿の後に駈けこんで、そこでおずおず、うしろをふりかえった。怪しい男は、見えなかった。まず助かったと、彼はどきどきする心臓をおさえながら、社殿のうしろにベンチをみつけ、それに腰を下ろした。

「彼奴は何者だろうか?」

彼はまだはあはあ息をきりながら、頭の中に今見た怪しい男の顔付を気味わるく思いうかべた。

彼の腰をおろしているすぐ前に、誰が捨てたか、地上に捨てられた煙草の吸殻があった。まだ火がついたままで、紫色の煙が地面をなめるように匐っていた。彼はそれを見ると、急に煙草が吸いたくなった。彼は、汚いという気持もなく、吸殻の方へ手をのばして、泥をはらうと口にくわえた。

すばらしい煙草の味だった。だが、間もなく火は彼の指さきに迫って、もうすこしで火傷するところだった。