Clásicos japoneses con furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lee 自叙伝 (じじょでん) de 大杉 栄 (おおすぎさかえ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 115.021 caracteres · 230 pantallas
実は、今はもうその名も忘れてしまったが、よく僕の面倒を見てくれた女中も一人いたのだ。
その女中は、もう一年ほど前に、嫁に行っていなかった。が、お寺か田舎の旧家の座敷のような、広い十畳に、幅一間ほどの古風な大きな障子の立っている、山のすぐ下のその室一つだけでも、まだ僕を引きつけるには十分だった。
長い間いろいろと苦心していた雑誌の保証金が、ようやく手にはいった。その金がどうして手にはいり、またそれまでそれを得るためにどんなに苦しんだかについても、またあとで話しする機会があろうと思うが、とにかく当時の僕には、新しい小さな雑誌を一つ創めるということが、ほとんど唯一の当面の問題だった。二カ年間続いて来た『近代思想』を自ら廃刊して、新たに月刊『平民新聞』を起し、それがほとんど半カ年間発売禁止を重ねて、さらにまたもとの『近代思想』に帰り、そしてそれがまた発売禁止の連続を喰って倒れてから、僕等はもう半年あまり僕等の運動の機関を持たなかった。当時では、この機関がないということは、同時にまたほとんど運動がないというのと同じことだったのだ。僕は僕の恋愛問題がこのことに少なからざる責任のあることを感じていた。