Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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「しぜん」

「自然」

豊島 与志雄

Lee 「自然」 (「しぜん」) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 2434 caracteres · 5 pantallas

Aozora Bunko

今日東京では、砂糖黍をしゃぶることは殆んど出来ない。時折、深川あたりの縁日の屋台店に、そのしなびたものを見かけるくらいである。それも、都会の児童は余り見向かない。

味そのものの見地からすれば、黒砂糖は白砂糖にまさり、更に砂糖黍は黒砂糖にまさること数段である。砂糖黍の艶やかな皮をむいて、あの白い中身をしゃぶる甘味快味を、私は終生忘れないだろう。

私は考える、天然の味にまさる味ありやと。ただに砂糖のみではない。

田舎の児童は、野に遊びながら、時折、生のまま、大根をかじる、瓜をかじる、茄子をかじる、蓮をかじる。その彼等の、白い歯と健康な唾液と新鮮な味覚とを、私は夢想する。

鯛や鮪や、其他、鮎から鰛に至るまで、多くの魚肉の味は、如何なる調理法を以てしても、生のものには及ばない。鶏肉も牛豚肉も、最上の味は、その刺身にある。牡蠣も鮑も、生に限る。臓物でさえ、動物はその生のものを最も喜ぶ。最も進歩していると云わるる支那料理に於ても、その珍味とされてるもの、熊掌、鼈裙、吟士蟆のたぐいは、天然の味を最も多く保有している。

酒類も同様である。アブサントを好む者は、その天然的な芳醇さに惹きつけられるのである。