Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
めばえ
芽生
宮本 百合子
Lee 芽生 (めばえ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 40.924 caracteres · 81 pantallas
と思ったっきりであった。夏の末、秋の初め――いろいろに美しくなる自然は段々彼の女に早足にせまって来た。女の目はキラキラとかがやいて唇の色はいつでももえる様にまっかになって居た。何でも自然の作ったものを見る彼の女の様子は初恋の女がその恋人を見る様に水々しくうれしそうでさわる時には、苦しいほどのよろこびとに体をふるわせて居た。彼の女はあけても暮れても自然の美くしさに笑い歌い又泣きもして居た。男の事は頭の中になかった。女は沢山歌を書き文を書き只自分が自然と云うものの中に自然に一番したしい芸術と云うものの中に生きて居るのを感じて居るばかりだった。
秋の中頃旅を終えて男が帰って来た。その日も彼の女は青白く光る小石に優しいつぶやきをなげながら男には只「お帰んなさい、面白かったでしょう」と云ったばかりであった。そして原稿紙の一っぱいちらばって居る卓子に頬杖をつきながら小声にふとからからと湧いて来る歌を口ずさんで居た。男はそのわきに少し目の落ちた彼の女の青白い横がおを見つめて立って居た。男はどもる様にこんな事を云った。
「どうしてそんなひやっこい様子をして居るの、何か腹の立つ事があるの」