Clásicos japoneses con furigana
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しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
Lee 荷風随筆集(下)〔全2冊〕 (しょうたく) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 36.633 caracteres · 74 pantallas
博文館の『文芸倶楽部』はその年の正月『太陽』と同時に第一号を出したので、わたくしは確にこれをも読んだはずであるが、しかし今日記憶に残っているものは一つもない。帝国文庫の『京伝傑作集』や一九の『膝栗毛』、または円朝の『牡丹燈籠』や『塩原多助』のようなものは、貸本屋の手から借りた時、披いて見たその挿絵が文章よりもかえって明かに記憶に留っている。
その頃発行せられていた雑誌の中で、最も高尚でむずかしいものとして尊ばれていたのは、『国民の友』、『しがらみ草紙』、『文学界』の三種であった。まだ病気にならぬ頃、わたくしは同級の友達と連立って、神保町の角にあった中西屋という書店に行き、それらの雑誌を買った事だけは覚えているが、記事については何一つ記憶しているものはない。中西屋の店先にはその頃武蔵屋から発行した近松の浄瑠璃、西鶴の好色本が並べられてあったが、これも表紙を見ただけで買いはしなかった。わたくしが十六、七の時の読書の趣味は極めて低いものであった。
四カ月ほど小田原の病院にいる間読んだものは、まず講談筆記と馬琴の小説に限られていたといってもよい。しかし後年芝居を見るようになってから、講談筆記で覚えた話の筋道は非常に役に立った。