Clásicos japoneses con furigana
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こんにゃくぼん
菎蒻本
泉 鏡花
Lee 菎蒻本 (こんにゃくぼん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.957 caracteres · 30 pantallas
今境内は人気勢もせぬ時、その井戸の片隅、分けても暗い中に、あたかも水から引上げられた体に、しょんぼり立った影法師が、本堂の正面に二三本燃え残った蝋燭の、横曇りした、七星の数の切れたように、たよりない明に幽に映った。
びしゃびしゃ……水だらけの湿っぽい井戸端を、草履か、跣足か、沈んで踏んで、陰気に手水鉢の柱に縋って、そこで息を吐く、肩を一つ揺ったが、敷石の上へ、蹌踉々々。
口を開いて、唇赤く、パッと蝋の火を吸った形の、正面の鰐口の下へ、髯のもじゃもじゃと生えた蒼い顔を出したのは、頬のこけた男であった。
内へ引く、勢の無い咳をすると、眉を顰めたが、窪んだ目で、御堂の裡を俯向いて、覗いて、
「お蝋を。」
二
そう云って、綻びて、袂の尖でやっと繋がる、ぐたりと下へ襲ねた、どくどく重そうな白絣の浴衣の溢出す、汚れて萎えた綿入のだらけた袖口へ、右の手を、手首を曲げて、肩を落して突込んだのは、賽銭を探ったらしい。
が、チヤリリともせぬ。
時に、本堂へむくりと立った、大きな頭の真黒なのが、海坊主のように映って、上から三宝へ伸懸ると、手が燈明に映って、新しい蝋燭を取ろうとする。