Clásicos japoneses con furigana
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くすりゆびのまがり
薬指の曲り
田中 貢太郎
Lee 薬指の曲り (くすりゆびのまがり) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 2603 caracteres · 6 pantallas
――これは、私が近比知りあった医学士のはなしであります――
私の父と云うのは、私の家へ養子に来て、医師になったものでありまして、もとは小学校の教師をしておりました。其の当時は、医師に免許状を持たした時で、それまで医師をやっていた家へは、内務省からお情け免状をくれました。で、父は祖父が亡くなりますと、其のまま家業を継いで医師になりました。
父が亡くなった時が七歳でしたから、連続した記憶はありませんが、それでもちょいちょいしたことは覚えております。父は何時も淋しそうな顔をしておりましたが、それでいて人ずきの悪い人ではありませんでした。口元には赤茶けた口髯がチョビリ生えておりました。父は私を非常に可愛がりました。他処へ往って宿るようなことがあると、私が怪我をしやしないか、不意に病気になりはしないかと思って、眠られなかったと云います。これは私の故郷の詞でありますが、私の故郷では嬰児のことをややと云いますが、父は私を五歳になっても六歳になっても、ややと呼んで、好く母に笑われたと云います。
「此のむきじゃ、十歳になっても、二十歳になっても、ややと云ったかも判らない」