Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
――今話した相輪から五十丁も這入らなければ行かれない」
「どうれで知らずに通った訳だな、君」と宗近君がまた甲野さんに話しかける。甲野さんは何とも云わずに老人の説明を謹聴している。老人は得意に弁ずる。
「そら謡曲の船弁慶にもあるだろう。――かように候ものは、西塔の傍に住居する武蔵坊弁慶にて候――弁慶は西塔におったのだ」
「弁慶は法科にいたんだね。君なんかは横川の文科組なんだ。――阿爺さん叡山の総長は誰ですか」
「総長とは」
「叡山の――つまり叡山を建てた男です」
「開基かい。開基は伝教大師さ」
「あんな所へ寺を建てたって、人泣かせだ、不便で仕方がありゃしない。全体昔しの男は酔興だよ。ねえ甲野さん」
甲野さんは何だか要領を得ぬ返事を一口した。
「伝教大師は御前、叡山の麓で生れた人だ」
「なるほどそう云えば分った。甲野さん分ったろう」
「何が」
「伝教大師御誕生地と云う棒杭が坂本に建っていましたよ」
「あすこで生れたのさ」
「うん、そうか、甲野さん君も気が着いたろう」
「僕は気が着かなかった」
「豆に気を取られていたからさ」
「アハハハハ」と老人がまた笑う。
観ずるものは見ず。昔しの人は想こそ無上なれと説いた。