Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas

Aozora Bunko

「兄さんが御前に何か御用があると御云いだから」

「そう」と云ったなり、藤尾は兄の方へ向き直った。黒い線がしきりに出来つつある。

「兄さん、何か御用」

「うん」と云った甲野さんは、ようやく顔を上げた。顔を上げたなり何とも云わない。

藤尾は再び母の方を見た。見ると共に薄笑の影が奇麗な頬にさす。兄はやっと口を切る。

「藤尾、この家と、私が父さんから受け襲いだ財産はみんな御前にやるよ」

「いつ」

「今日からやる。――その代り、母さんの世話は御前がしなければいけない」

「ありがとう」と云いながら、また母の方を見る。やはり笑っている。

「御前宗近へ行く気はないか」

「ええ」

「ない? どうしても厭か」

「厭です」

「そうか。――そんなに小野が好いのか」

藤尾は屹となる。

「それを聞いて何になさる」と椅子の上に背を伸して云う。

「何にもしない。私のためには何にもならない事だ。ただ御前のために云ってやるのだ」

「私のために?」と言葉の尻を上げて置いて、

「そう」とさも軽蔑したように落す。母は始めて口を出す。

「兄さんの考では、小野さんより一の方がよかろうと云う話なんだがね」

「兄さんは兄さん。私は私です」