Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
赤松の二抱を楯に、大堰の波に、花の影の明かなるを誇る、橋の袂の葭簀茶屋に、高島田が休んでいる。昔しの髷を今の世にしばし許せと被る瓜実顔は、花に臨んで風に堪えず、俯目に人を避けて、名物の団子を眺めている。薄く染めた綸子の被布に、正しく膝を組み合せたれば、下に重ねる衣の色は見えぬ。ただ襟元より燃え出ずる何の模様の半襟かが、すぐ甲野さんの眼に着いた。
「あれだよ」
「あれが?」
「あれが琴を弾いた女だよ。あの黒い羽織は阿爺に違ない」
「そうか」
「あれは京人形じゃない。東京のものだ」
「どうして」
「宿の下女がそう云った」
瓢箪に酔を飾る三五の癡漢が、天下の高笑に、腕を振って後ろから押して来る。甲野さんと宗近さんは、体を斜めにえらがる人を通した。色の世界は今が真っ盛りである。
六
丸顔に愁少し、颯と映る襟地の中から薄鶯の蘭の花が、幽なる香を肌に吐いて、着けたる人の胸の上にこぼれかかる。糸子はこんな女である。
人に示すときは指を用いる。四つを掌に折って、余る第二指のありたけにあれぞと指す時、指す手はただ一筋の紛れなく明らかである。五本の指をあれ見よとことごとく伸ばすならば、西東は当るとも、当ると思わるる感じは鈍くなる。