Clásicos japoneses con furigana
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にじのはし
虹の橋
久生 十蘭
Lee 虹の橋 (にじのはし) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 15.038 caracteres · 30 pantallas
履歴書の方は、深川第一小学校、日本高女の技芸科を二年。京華ダンスホールに一年、西銀座の「ベラミ」というバアに一年、それから大阪……これが北川千代の歴史だった。
あさひは戸籍謄本と履歴書をもとのところへ戻すと、スーツ・ケースを枕にしてあおむけに寝た。思いもしないようなふしぎなことが、はじまりかけている。それはどういうことなのか、あさひは心の深いところでうすうす感じていた。
「真山あさひは千草の土の下へ入ってしまったんだから……」
なんのめんどうもなく北川千代という女に転身することができ、帰ろうと思えば東京へも帰れるし、就職にも結婚にも、完全な自由をもっている。
「そうだったら、どんなにうれしいだろう」
しかし、これは過去に拭いがたい汚染をもっている人間の、はかない心の遊戯にすぎない。あさひは人生のむずかしいところを、骨を折って切りぬけてきたので、女の浅智慧や企みほどおろかなものはないということを、経験を通じて知っている。そんな胡魔化しがバレずにすむと思ったら大変なまちがいだ。そうだったら、どんなにうれしいだろうというだけのことだと、じぶんに言いきかせた。