Clásicos japoneses con furigana
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ろうにんぎょう
蝋人形
小川 未明
Lee 蝋人形 (ろうにんぎょう) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4886 caracteres · 10 pantallas
若葉の鬱然とした社の森には赤、白の小旗が幾つともなく風に翻って、海と色が通う空には大旗が風に鳴って、町の家々の軒には角燈籠が懸られ、太鼓の音と笛の音が聞えた。また鯛売の声や竹の子売の声が町の東西に聞える。
この日、ぶらりと清吉は久しぶりで我が故郷へ帰って来た。余りの不意の帰宅に父母は驚いて、まあどうしてかと顔を見るより早くその訳を聞いた。理由は脚気で帰って来たとのこと。成程母の予想に違わず前垂姿のかいがいしい様はどう見ても東京児である。しかし無口で、温順な気質は少しも昔とは異らなかった。知人や近所のものは、等しく清吉の外を通る姿を見返って、皆な立派なものになって来たとは、いわぬものはなかった。独り母親だけは、
「清吉、お前は又東京へ行くんだろうね、親方様にはお変りはないかえ。」
と不審そうに聞く。清吉は何をいわれてもはいはいといって、脚気さえ癒れば直ぐ帰るんだといった。兵蔵は、
「まあそんなに言なくてもいいわ、今日は幸町の祭日だ、さあ目出度い。お前も斯様に達者で大きくなって来てくれた。今日はゆるりと一杯鯛の刺身で飲むべえ。何に秋にでもなって涼気が立てば脚気も癒るから。