Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
はえおとこ
蠅男
海野 十三
Lee 蠅男 (はえおとこ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 118.129 caracteres · 237 pantallas
帆村はホッと吐息をついた。これは控家とあるからには、池谷医師の医院は別のところにあるのだろう。これは住居らしいが、なかなか豪勢なものであった。若い女も此処に入ったとすると、あれは池谷医師の妻君だったかなと思った。
こうして池谷医師の行方はつきとめたけれども、この儘で入ると、鳥渡具合がわるい。すこし計略を考えた上でないと、かえって物事が拙くなると思った帆村は、服でも着かえなおしてくるつもりで、門前を去って、もと来た道の方へ引きかえしていった。
半丁ほど行ったところで、彼は向うから一人の麗人が静かに歩いてくるのに逢った。
「おお、これは愕いた。糸子さんじゃありませんか」
その麗人は、惨劇の玉屋総一郎の遺児糸子であった。彼女は声をかけた主が帆村だと知ると、面窶れした頬に微笑を浮べて近よってきた。
「もう外へ出てもいいのですか。何処へお出でなんです」
「ええ、ちょっと池谷さんのところまで」
「ああ池谷さんのところへ――なるほど」といったが、彼は遽ただしく聞き足した。「あのウ、池谷さんには細君があるんでしょうネ」
「ホホホホ、まだおひとりだっせ」
「ナニ、独り者ですか、これは変だ」