Clásicos japoneses con furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lee 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 88.970 caracteres · 176 pantallas
立派であった。
それにしても、この奥まった部屋の暗いことは! 年中陽の光が射さないからであった。それで、この部屋にあって、鮮明に見えているものといえば、例の、卯の花のように白い薪左衛門の頭髪と、化粧を施さないでも、天性雪のように白い、栞の顔ばかりであった。
いや、もう一つあった。薪左衛門によって保持たれている天国の剣であった。
おお、この「持つ人の善悪に関わらず、持つ人に福徳を与う」とまで、云い伝えられている、日本最古の刀匠――大宝年中、大和に住していた天国の作の、二尺三寸の刀身の、何んと、部屋の暗さの中に、煌々たる光を放していることか! その刀身の姿は細く、肌は板目で、女性を連想わせるほどに優美であり、錵多く、小乱れのだれ刃も見えていた。そうして、切っ先から、四寸ほど下がった辺りから、両刃になっていた。何より心を搏たれることは、それが兇器の剣でありながら、微塵も殺伐の気のないことで、剣というよりも、名玉を剣の形に延べた、気品の高い、匂うばかりに美しい、一つの物像といわなければならないことであった。
「まあ」と、栞は、思わず感嘆の声を上げ、水仙の茎のような、白い細い頸を差し延べ、眼を見張り、刀身を見詰めた。