Clásicos japoneses con furigana
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はだかぎ
裸木
豊島 与志雄
Lee 裸木 (はだかぎ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.049 caracteres · 33 pantallas
果して妻を愛してたかどうか、それさえも分らなくなってくる……。何もかも生きてるうちのことだ。」
佐野はぎくりとした。
「え、医者が何か云ったのかい。」
「医者……。」
「危険だとか……何か……。」
「何も聞かないよ。」
「そうだろう。そんなに悪い筈はない。」
「誰でもそう思うものだよ。僕もそう思っていた。愈々いけなくなる前、妻は一寸元気づいていたよ。それが、これなら大丈夫だと思っていると急にいけなくなった。眼に見えてじりじりと、深いところへ落ちこんでゆくようで、どうにも出来やしない。」
「…………」
佐野は武田の顔を見つめた。
「そりゃあとても堪らない気持だ。」
「…………」
その時、不思議なことが佐野に起った。或る力強い何とも云えない皮肉な快感から、彼はぼんやり微笑んでしまった。それから始末に困った。
彼は立上った。
「大丈夫だ。来てみ給い。」
病室の方へ歩いていった。武田はついて来た。
電燈の覆いを取ると、ぱっと明るくなった。
「まあー、何をなさるの。」
「なに大丈夫だ。」
真赤な顔だった。額は汗ばんで熱かった。呼吸は静かだった。心持ち凹んだ眼のあたりを、無意識にしかめていた。