Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しょっかくのせかい

触覚の世界

高村 光太郎

Lee 触覚の世界 (しょっかくのせかい) de 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4161 caracteres · 9 pantallas

Aozora Bunko

した。その声をきいてから、他の歌うたいの声をきくと、あまり筒抜け過ぎて、その歌が煙突から出るもののようにしか響かなかった。いつでも私の触覚は音楽をきく時の第一関門となるのである。

香とは微分子なのだそうである。肥くさいのは肥の微分子が飛びこむのだそうである。道理で私は香をも肌でかぐ。万物に匂の無いものはない。してみれば万物は常にその微分子を放散させているのである。自ら形骸を滅尽しつつあるのである。滅尽の度の早いのが香料だというだけである。微分子があまり一度に多量に飛びこむと圧迫される。香料は皆言わば稀薄である。香水の原料は悪臭である。所謂オリジナルは屍人くさく、麝香は嘔吐を催させ、伽羅の烟はけむったい油煙に過ぎず、百合花の花粉は頭痛を起させる。嗅覚とは生理上にも鼻の粘膜の触覚であるに違いない。だから聯想的形容詞でなく、厚ぼったい匂や、ざらざらな匂や、すべすべな匂や、ねとねとな匂や、おしゃべりな匂や、屹立した匂や、やけどする匂があるのである。

味覚はもちろん触覚である。甘いも、辛いも、酸いも、あまり大まかな名称で、実は味わいを計る真の観念とはなり難い。