Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あかいふねのおきゃく

赤い船のお客

小川 未明

Lee 赤い船のお客 (あかいふねのおきゃく) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3624 caracteres · 8 pantallas

Aozora Bunko

また、泣き声をたてるものもありませんでした。

笛の中は、ただ一本の空洞の竹にしかすぎませんでした。

それでも二郎は、なお思いあきらめることができなかったのです。

やはり、一つ一つ無理に、穴をつついているうちに、その笛は、ひびがはいってしまいました。

二郎は、もう一度いい音色を聞こうと思って、その笛を唇にあてて吹いてみました。

しかし、笛はもう、なんの音もたてずに、まったく役にたたなくなってしまったのです。

海や砂山や、空にかがやいている日の光には、すこしの変わりがなかったけれど、天地は急におし黙ってしまって、なにもかも、おしのごとくに見られたのです。

そして、赤い船の影は、波間にうすれて、見えたり、消えたりしています。

洋服を着た人は、どこへいったか、もうおらなかったのであります。

二郎は、笛をすてて家に帰りました。

そしてその夜は、後悔しました。

あの大事な笛を割ってしまって、とりかえしがつかなかったからです。

あくる日の昼ごろ、二郎は砂山へいって、昨日笛を吹いたところにきてみました。

するとそこには、いろいろの草が、一夜のうちに花を開いていたのです。