Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lee 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.626 caracteres · 45 pantallas

Aozora Bunko

貧しい者には貧しい者、同じ長屋、隣り近所だけしか頼るものはない。しかしその反面には、やはり強い者と弱い者の差があるし、羨望や嫉妬や、虚飾や傲慢があった。そのうえ、いつもぎりぎりの生活をしているため、それらは少しの抑制もなく、むきだしにあらわされるのが常であった。――いつもは一と匙の塩を気楽に借りる仲でも、極めてつまらない理由、――たとえば、こっちへ向いて唾をしたとか、朝の挨拶が気にいらなかったとか、へんにつんとしていた、などというたぐいのことで、いっぺんに仇敵のように憎みだすのである。かれらがお互いに、自分を捨てても助け合おうとする情の篤さは、生活に不自由のない人たちには理解ができないであろう、と同時に、かれらの虚飾や傲慢や、自尊心や憎悪などの、素朴なほどむきだしなあらわしかたも、理解することはできないに相違ない。

――一と匙の塩まで借りあい、きょうだい以上につきあっていながら、死ななければならないという理由は話せない。

貧窮しているための、相手に対する必要を越えた遠慮か、それとも頑迷な、理屈に合わない自尊心のためか、いずれにせよ、五郎吉夫婦には他人に話せない理由があったのだろう。