Clásicos japoneses con furigana
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おいついたゆめ
追いついた夢
山本 周五郎
Lee 追いついた夢 (おいついたゆめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 20.427 caracteres · 41 pantallas
「――紙入の中にゃあ二両ばかりへえってるが、名札もところ書もねえんで、まるっきり身許がわからねえ」
「形でみると相当な店の隠居らしいがな」
「それにしちゃあぶっ倒れた処がけぶですぜ、六郷の川っぷちを海のほうへ、三十間もいった蘆ん中だからね、なんだってあんな処へ踏んごんだものか、わけがわからねえ」
和助はあっと思った。六郷川、蘆の中、ぶっ倒れていた。これらの言葉がなにを意味するか、初めて彼にわかったのである。
――これは夢ではない。
総身を恐怖がはしった。とび起きようとしたが、躰は岩にでもなったように重く無感覚で、声のするほうへ顔を向けることもできなかった。
――中気、……まさか。
彼は笑おうとした。だがすぐに、今そこに聞えた声を思いだした。
「まちがいなし、卒中だよ――」そして彼は息が詰りそうになり、われ知らず絶叫した。絶叫、いやそうではない、それは哀れな、いやらしい呻き声に過ぎなかった。
「また唸りだしたぜ、いやな声だなこいつは」
こう云って誰かが覗きこんだ。三十五六になる髭だらけの男だった。眉の太い唇の厚い、色のまっ黒な、けれども眼だけは好人物らしくみえた。