Clásicos japoneses con furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lee 遠野へ (とおのへ) de 水野 葉舟 (みずのようしゅう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 55.903 caracteres · 117 pantallas
――くる時にこの村で感じた、不思議な、自然の生きた大きい目で睨みつけられたような記憶――吹雪でこの野は暗く、その奥から、ひそかに深い吐息でもするように、灯が見えていた。馬車を出て雪のなかを道に立って見ると、闇の奥がはかり知られないような気がした。そしてその暗い中に、近くの山の黒い形がぱっと見えた。私はその闇に彩られて見る景色を見て、恐ろしさを感じた。が、今見ると平凡な田舎の茶店だ。
で、私は外に出ようとも思わずに、ただ馬車の出るのを待った。馬車は悠々として二十分、それより以上も動かなんだ。私は倦んで来た。と同時に、睡眠の不足のために頭がふらふらし出した。で、思いついて、幕を上げると茶店のものを呼んで煙草を持ってこさせた。さて金を払おうとすると、ポッケットの中を捜したが、金入れが見当らない。私はあわてて覚えず、
「オヤ?」と声を出した。いそいで方々のポッケットを捜したが手にさわらなかった。私は心で今朝までいた宿屋の二階の一室を思い浮べて、自分の粗忽を怒った。覚えず、
「チョッ!」と、高く舌打ちした。
と、いままで、向側から私の様子をじっと見守るようにしていた判事さんが、重っくるしい調子で、