Clásicos japoneses con furigana
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しゅうぶん
醜聞
山本 周五郎
Lee 醜聞 (しゅうぶん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.900 caracteres · 46 pantallas
あるいてゆきながら彼は呟いた、「気にかかるのは御城代の生田さんだが、靱町が押えていればつまらない騒ぎにはしないだろう」
そんなことを考えながらあるいていたので、誰かに呼びかけられたのを、すぐには気づかなかった。功刀さまというのを聞いて振り返ると、いつもの老乞食がうしろに立っていた。街にはもう灯がつきはじめてい、人の往来はまばらであった。功兵衛が立停ったのを見ると、こもをかぶったその乞食は、不安定なあるきぶりでよろよろと近よって来た。
「そのほういま私の名を呼んだようだな」功兵衛は相手の動作に注意しながら云った、「また、いつも私だけに袖乞いをするそうだが、いったいそのほうはなに者なんだ」
乞食は片手を出しながら、酒がきれて苦しいから、五十文ばかり恵んで下さいと云った。舌がもつれて言葉がはっきりしないし、差出された手も、小柄な躯もぶるぶるとふるえていた。
「返辞を聞こう」と功兵衛は云った、「そのほうはなに者だ」
乞食は暫く迷っていたが、やがて「さくらです」とはっきり答えた。
「さくら、とはどういうことだ」
「あなたは」と乞食はふるえながら云った、「自分の妻の名を忘れたのですか」