Clásicos japoneses con furigana
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きんぽうさいき
金鳳釵記
田中 貢太郎
Lee 金鳳釵記 (きんぽうさいき) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 6167 caracteres · 13 pantallas
そのうちに清明の節となった。防禦の家では女が新しく歿くなっているので、下男と興哥に留守をさして、皆で墓参に出かけて往った。
興哥はその日は軽い心地になって、庭の中を歩いたり、下男と話をしたりした。陽が入ってうっすらと暮れかけた時、彼は小斎の前の壁にもたれて立っていた。
二挺の肩輿が表門を入ってきた。興哥はあの後か前かに興娘の妹の慶娘がいるだろうと思って、うっとりとしてそれを見送っていた。と、後ろの肩輿の窓から小さな光るものが落ちた。興哥はそこへ歩いて往った。黄金の釵が落ちていた。蹲んで拾って空の明るみに透して見ると、鳳凰の形にこしらえた物であった。
興哥は、これはきっと慶娘の落したものだろうと思って、追っついて渡そうと思って往きかけると、もう肩輿は中門を入って、それと同時に門の扉がぴっしゃりと締った。
興哥は翌日下男から渡してもらおうと思って、その釵を持ったままで引返して、小斎の中へ入り、燈をつけて拾った釵をその光に見直した。そして、慶娘はどんな女になっているだろうと思った。興娘が四つか五つで慶娘は生れたばかりの赤ん坊であったことを、おぼろげに覚えている興哥は、時折慶娘に逢ってみたいと思うことがあっても、礼儀正しいそうした家では、遠くから透し見ることすらできないでいた。