Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 157.440 caracteres · 313 pantallas

Aozora Bunko

「あ、出て来やがったか」

曲者は逃げ場を失って、屋根の上へ――恐ろしい器用な身のこなしで、楽々と這い上がります。

「野郎ッ」

続く平次――だが、そこへは平次は登れません。

「親分」

下から五重の塔がユラユラするほどの騒ぎで登って来たのは、ガラッ八の八五郎でした。

「八、曲者は屋根の上だ」

平次はそれを指さして歯噛みをするばかり。

「それなら大丈夫ですよ。塔の中へ三十人も連れて来ているんだ、屋根の上から飛び降りでもしなきゃ間違いもなく捕りますよ」

五重の塔の上の屋根が狭くて、残念ながら芳流閣ごっこは出来ませんが、その代り五階を完全に堅めさえすれば、曲者は羽がない限り、ここから逃げ出す工夫はありません。

「屋根の上から降りて来なきゃ、どうにもならないよ八」

「兵糧攻めという術がありますよ」

「気が長いな」

「それじゃ、竜吐水で屋根へ油を撒く。どんな体術の名人だって、あんな急勾配の屋根の上に、油を撒かれちゃ一刻と獅噛みついちゃいられませんよ」

「お前の工夫は結構だが、下からでは竜吐水の油が届かないし、五階からだと庇が邪魔になって屋根の上には撒けないよ」

「そこが工夫で」

ガラッ八の八五郎は、尤もらしく長んがい顎を襟の中に埋めるのです。