Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

くさりこうじょう

鎖工場

大杉 栄

Lee 鎖工場 (くさりこうじょう) de 大杉 栄 (おおすぎさかえ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4823 caracteres · 10 pantallas

Aozora Bunko

俺の脳髄を巻きつけていた鎖は、思ったよりも容易に、大がい解けた。しかし俺の手足の鎖は、頑固に肉の中にまで、時としては骨の中にまで喰い込んでいて、ちょっと触ったばかりでも痛くって仕方がない。それでも我慢しいしい少しは解いた。そして後には、その痛いのが、多少小気味のいい感じさえ添えて来た。見張りの奴の棍棒も、三つや四つぐらいなら、平気で受けるほどになった。傍の奴等の嘲笑や罵詈は、こっちから喜んで買ってやりたいほどになった。

けれども俺ひとり俺の鎖を解こうとしても、どうしても解けない鎖がたくさんある。俺の鎖とみんなの鎖とは、巧みにもつれ合いつなぎ合っている。どうにも仕方がない。それに少しでも怠けていると、せっかく苦心して解いた鎖が、自然とまた俺のからだに巻きついている。知らぬ間に俺の手は、また俺の環をつなぎ合わしている。

工場の主人の奴は、俺達の胃の腑の鍵を握っていて、その鍵のまわし工合で、俺達の手足を動かしているのだ。今まで俺は、俺の脳髄が俺の手足を動かすものだとばかり思っていたが、それは大間違いだった。見渡すところ、どいつの手足だって、自分の脳髄で左右せられているものはない。