Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんさいにっし

震災日誌

喜田 貞吉

Lee 震災日誌 (しんさいにっし) de 喜田 貞吉 (きたさだきち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.617 caracteres · 40 pantallas

Aozora Bunko

概していえば被害は少い方で、中にも母屋と裏座敷とに少しの狂いの来ておらぬのは、最も人意を強うするに足る。ことに母屋の方は瓦が全部落ちて大いに軽くなっているはずだ。このうえよしや第一回以上の激震が来ても、ここにさえおれば安全だ、決して逃げ出す必要はないと、よくよく家族のものに言い含めたことであった。

もともと自分の住宅は、これも自分で親しく監督して明治四十年に新築したものだ。東京中の家が七割まで倒れるほどの地震でなければ、この家は倒れぬとの自信を持っていたものだ。しかし火事の場合には何とも仕方がない。在来の古土蔵が一つあるけれども、それは正可の時に保証は出来ぬ。そこで新たに書庫として石蔵を造った。これならば火災のさいに一番安全だとは、平素家族の者に教えておいたところであった。そのことが家族らの頭に深く染みついていたので、突嗟のさいに一同相率いて飛び込んだのであった。地震と火事とを取り違え、人間と物品とを取り違えたのだ。それにしても内部のほとんどすべてが投げ出されて、算を乱して倒れた箪笥や書棚に打たれもせず、一同無事だったのは全く天佑といわねばならぬ。