Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.550 caracteres · 27 pantallas
折も折、お屋敷うちならともかく、三十二万石のお姫さまが、町方まで出かけて来て六人の人間を毒で殺すなんてえのは実に無法。阿部さまもことのほかご憤懣のおようすで、上の威勢をしめすためにも、政道のおもてに照して明白にことをわけるようにというご下命。それに、ご承知の通り、今月は南番所の月番で、あのえがらっぽい藤波がこの一件をさばくわけなんですから、どのみち、加代姫さまは無事ではすみますまい」
アコ長は、れいの長い顎のはしをつまみながら、うっそりとなにか考えこんでいたが、だしぬけに口をひらき、
「それで加代姫は、じぶんが殺ったと白状たのか」
「いいえ、そうは申しません。まるっきりじぶんの知らぬことだと突っぱるんです」
「それは、そうだろう」
と言っておいて、とど助のほうへ振りかえり、
「ねえ、とど助さん。あなたもそうお思いになるでしょう。いくら大名のお姫さまでも、かりにもひとを殺せば無事にはすまない。いわんや藤堂和泉守は外様大名。事あれかしの際だから、かならず三十二万石に瑕がつくくらいなことは知っていよう。どんな経緯があったか知らないが、陸尺のいのちと三十二万石とをつりかえにする馬鹿はない。