Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.960 caracteres · 24 pantallas

Aozora Bunko

事実のところザックバランに言えば、嫌がるのを無理やりに乗せられた……。

五月五日は、府中六所明神の名代の暗闇祭。大国魂さまの御霊遷のある刻限前に、どうでも府中まで駈けつけねばならぬ用事があって、甲州街道の駕籠立場まで来て、むこうっ脛の強そうなのを選んでいると、いきなり顎十郎にとっつかまってしまった。

「おお、ひょろ松じゃないか。大仰な旅支度で、いったい、どこへ行く」

正月の狸合戦以来、かけちがって半年近くあわなかったところだったので、ひょろ松も懐かしく、顎十郎のそばへ駈けて行くと、半纒の襟にすがらんばかりにして、

「おお、これは先生、……阿古十郎さん、いつも御機嫌よくて……」

顎十郎のアコ長は、有名な冬瓜顎をツン出して、

「挨拶などはどうでもいい。いったいぜんたい、どこへ行く」

「実は、府中まで急な用事がありまして、どうでも夕方までにむこうへ着かなくてはならねえという大早乗。いま威勢のいい駕籠をさがしているところなンです」

「おお、それはちょうどいい都合だった」

「えッ、ちょうどいい都合とおっしゃると……」

「俺の駕籠があいてるから、これに乗れ」

「じょ、じょ、ご冗談……」