Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.028 caracteres · 28 pantallas
足跡らしいものは多少みあたるが、草が倒れていないのはどうしたわけでしょう」
藤波は油断のない面つきで、切長なひと皮眼のすみからジロジロと顎十郎を眺めながら、
「仙波さん、まア、そうとぼけないでものこってすよ。いくらひどく踏みにじられても、ひと晩はげしい霜にあったら、草がシャッキリおっ立つぐらいのこたア、あなたがご存じないはずはない。つまらぬ洒落はそのくらいにして、そろそろ代替りにしていただこうじゃないか。神隠しだというお見こみなら、なにもこんなところで、マゴマゴしているこたアない。御嶽山へ出かけて行って、大天狗を召捕られたらどうです、あなたとはいい取組みでしょう」
顎十郎は、大まじめにうなずき、
「いや、おだてないでください。それほどにうぬぼれてもいません。召捕るというわけにはゆきますまいが、掛けあうくらいのことは出来ましょう。……では、そろそろ出かけますかナ」
こんな人を喰った男もすくない。本来ならば、とうの昔に癇癪を起してスッパ抜いているところだが、いつぞやの出あいで、相手の底知れぬ手練を知っているから、歯がみをしながら虫をころしていると、顎十郎はジンジンばしょりをして、両袖を突っぱり、