Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 9707 caracteres · 20 pantallas

Aozora Bunko

懐手をしたまま閾ぎわに突っ立って、

「いよう」

と、ひともなげな挨拶をすると、遠慮もなくズカズカと入りこんで来て、叔父のよこへ大あぐらをかく。

庄兵衛は、顎十郎の声を聞きつけると、どうしたのか、ひどくあわてふためいて、あたふたとありあう本で文机のうえのものをおおい隠すと、三白眼をつりあげ、大きな眼鏡ごしに顎十郎の顔をにらみあげながら、

「いくらいっても聞きわけがない、叔父にむかって、いよう、などという挨拶があるか。……たしなまッせえ、この下司ものめが」

顎十郎は、空吹く風と聞きながし、

「ときに叔父上、あなたもめっきりお年をとりましたな、そうしてションボリと文机のまえに坐っているところなんざ、まさに大津絵の鬼の念仏。……いつまでもじゃじゃばっていられずと、はやくお役御免を願って、初孫の顔を見る算段でもなさい」

庄兵衛は、膝を掻きむしって、

「またしても、またしても、言わしておけば野放図もない。毎朝三百棒をふるこのおれを、老いぼれとはけしからぬ。……これこのおれの、どこが老いぼれだ」

まるで、こんがら童子が痙攣たような顔をしていきり立つのを、顎十郎は相手にもせず、