Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.022 caracteres · 36 pantallas
……お前さんが、風呂へ行っている隙に、祐堂和尚の手紙を読んで、あんたが知っている字も、和尚のおせっかいも、なにもかもみんなわかってしまったの。……『五』という字が手に入ればもうこっちのもの、捨蔵様のいどころはこれでちゃんとわかりましたから、あたしはひと足先にまいりますよ。……始めて江戸へ出て来たひとを、こんな目に逢わせてお気の毒さまみたいなもんだけど、これに懲りて、もう柄にないことはおよしなさい、わかりましたか。……ご縁があったら、またいずれ。……あとで手足の痺れが直ったら、ちゃんと涎を拭いておきなさい。……くどいようだが、あたしはこれから行きますよ、よござんすね。……では、さようなら」
「ち、ち、ち……」
「畜生と言いたいのでしょう、急がずに、あとでゆっくりおっしゃい、ね」
言いたいだけのことを言って赤い舌を出すと、お八重はツイと小座敷から出て行ってしまった。
痺れ薬のせいで手足はきかないが、頭は働く。口惜しくて腹の中が煮えくり返りそうだが、顎の筋まで痺れたとみえて、歯軋りすることさえ出来やしない。
それからひと刻。
ようやく手足がすこしずつ動くようになった。