Clásicos japoneses con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lee 魔術師 (まじゅつし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 139.264 caracteres · 280 pantallas
若しこれをあと一日という通知状だとすれば、翌三十日は、愈その当日である。
第一は福田氏、第二は明智小五郎、次いで怪魔の兇刃に倒れるものは、抑も何人であるか、賊の予告が漠然と日附を示すのみで、その人を指名しない。不気味な曖昧さが恐怖を幾倍した。
その当日、玉村邸の人々は、誰も外出しないで、朝から一間に集って、恐怖をまぎらす為の遊戯や雑談をしていた。主人の善太郎も店を休んだ上、屈強の店員五六名を呼んで、いやが上にも厳重な防備を固めた。
ところが予期に反して何の変哲もなく日が暮れ、八時九時と夜が更けて行っても、邸内に別状はなかった。ナアンだ思った程でもない。この厳重な固めには、流石の魔法使いも策の施し様がないじゃないか。と、人々はやや安堵を感じ始めた。
十時には家内一同寝室に退いた。無論寝室の扉に締りをすることは忘れなかったし、玄関の書生部屋には寝ずの番が二人がんばっていた。その外には、表門裏門の刑事だ。
二郎青年もベッドに這入ったが、なかなか睡気を催さぬ。外の人々は安心しても、彼丈けは怪物の神変不思議な手並を、まざまざと見せつけられていたからだ。
遙か頭の上の、例の不気味な時計塔から、葬鐘の様な十一点鐘が聞えて来た。