Clásicos japoneses con furigana
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さかなのじょぶん
魚の序文
林 芙美子
Lee 魚の序文 (さかなのじょぶん) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.384 caracteres · 21 pantallas
いったいどうしろと云うのだ。
「もしもし終点でございますよ」眼だけが空洞のように呆んやりみひらいている僕の肩を叩いて車掌が気味悪そうに云った。
今までに、青年らしい楽しみも希望も随分考えて来たが、僕の青春には、ただ「浮世には思い出もあらず」と云う言葉だけが残っただけだ。
彼女は灯もつけずに庭にいた。
「みみずを掘っているの……」
手には空鑵をさげて、黒い土をほじくっていた。みみずは百匁掘れば、いくらになるとか、またどこかで聞いて来たのだろう。
僕は部屋へ這入って電気をつけた。机の上には、何かまた彼女の落書が書いてある。「一、魚の序文。二、魚は食べたし金はなし。三、魚は愛するものに非ず食するものなり。四、めじまぐろ、鯖、鰈、いしもち、小鯛。」
彼女は猫のように魚の好きな女であった。どんな小骨の多い魚でも、身のあるところをけっして逃さなかった。――僕は字引を金に替えた奴の残りを袂の底に探ってみた。まだ五十銭も残っていた。この金を、どうして楽しませてやったらいいだろう。
「おい、みみずは取れたかい?」
「まだまだ、今朝からなンだけど、たった四匹よウ。めめず屋の小父さんの話ではねえ、ここは昔沼だったンだからたくさんめめずが居るって云うンだけど、なかなか居ないわア」