Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
「ははあ……」と、お米の容体を診てしまった。
源内の手前、永居もできず、お米は調薬を渡されると、是非なく帰り支度をして、弦之丞に心を残しながらそこを出ていった。
「若い身なのに、癆咳であるそうな。不憫な者でございますのう」
その後で、弦之丞と源内の話。
「あまりきれい過ぎますよ、あの縹緻がな」
「ご丹精で、癒るお見込がござろうか」
「イヤ、癒りませんな。叔父御にせがまれて薬は上げているものの、不治の病、ことにあの年頃――男恋しい盛りですからの。蛇精亀血を啜りましても、それ、一方の煩悩を煽るにすぎません。まことに可哀そうなもので」
とまた、門口で弦之丞の名を呼ぶ者がある。
出てみると、お米の召し連れていた女中のお藤、弦之丞の手へ蝶結びにした裸文を渡すと、返辞も待たずに小走りに戻ってしまう。
何気なく解いてみると、そこらの茶店で、筆や紙を借りての走り書であろう。文辞もそそくさと、是非お話ししたいことがある、待っています、九条村の渡舟の前まで来て下さい。とある。
弦之丞はいささか当惑の面もち。
お米の方では、思いがけないよい機を、どうかして遁すまいと、九条安治川の渡舟小屋の側に立って、秋陽に縒れる川波をまぶしそうにしてたたずんでいた。