Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
と、その図に乗って、何の気もなく爪先立ちになり、上の窓框へ手をかけると、不意に! 窓の隙からその手をグイとつかみ取りに引き込まれて、格子へ絡みつけるように、強く捻じつけられてしまった。
「あッ」
と彼は羽目板へ足を踏んがけたが、もがけばもがくほど窓の角に手が縊れてしまうばかりだ。
ちぇッ、不覚! 優しい女の声であったばかりに、油断しぬいていたのは俺にも似げなかったと、万吉は歯を食いしばって振りほどこうと試みたが、窓縁を力に両手で抑えつけている家の中の者と、爪尖立ちをして締木にかけられている下の者とは、地の利において大変な相違がある。
こういう結果になってみると、やはり世の中には二一天作の五ばかりには行かず、二四が九であったり、三五十九である場合も常に心得ておかなければならないかも知れぬ。
そんなことは釈迦が経文をそらんじているより、百も千も合点している万吉にしてこの失策は遺憾至極といわねばならぬ。彼は、懸命に力をしぼってもがき遁れようとじれながらも、対手はそも何者であろうかと、必死に考えずにおられなかった。
噂に聞いていた旅川周馬か? イヤそれにしてはたしかにさっきの答えが女の音声であった。