Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 56.957 caracteres · 114 pantallas
している。
「畜生! ……」と思ったが、縄目に自由を奪われている万吉には、どうする術もない。
しかし、最前から、ジッと身を隠し通していた旅川周馬、引金をひいたらただ一発で、必ず弦之丞の急所を撃ってみせようとする意図なのに相違ない。
危機は間髪!
弦之丞の致命をつかみかけている危機は、かれの身辺よりむしろここにあった。
「エエいまいましい! みすみすそこにいる奴を眺めながら――」と万吉の歯が下唇をかみしめた。と、かれは足を踏ン張って、松の根元から芋虫のように転がった。そして、五体の肉をもがかせて、縄の伸びるかぎり周馬の方へズリ出してゆく――。
周馬はといえば、今や、構えを取った銃先の焦点へ全念をこらしかけていたので、それとは気づかずに指へ力をこめかけると、いきなり、伸びて廻った万吉の足が、ウム! とその片肘を蹴払った。
とたんに、ズドーンという硝薬のひびき。的を狂わせて天空へ音波をゆすッた。
徒労になった轟音に、耳をガンとさせた旅川周馬。
はからぬ邪魔をした万吉の足へ、カッと眼をいからせて、
「ちぇッ、なにをしやがる!」
と、まだ余煙のからんでいる短銃をイヤというほど叩きつけた。