Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lee 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 78.148 caracteres · 154 pantallas
」と落着いて尋ねて、渠は気遣わしく傾いた。
「…………」お雪はふとその答に支えたが、婆さんはかえって猶予わない。
「滅相な、お前様、この湯の谷の神様が使わっしゃる、白い烏が守ればといって、若い女が、どうして滝まで行かれますものか。取りにでも行く気かなぞと、問わっしゃるさえ気が知れませぬてや。ぷッ、」と、おどけたような顔をして婆は消えかかった蚊遣を吹いた。杉葉の瓦鉢の底に赤く残って、烟も立たず燃え尽しぬ。
「お婆さん、御深切に難有う。」
とうっかり物思に沈んでいたお雪は、心着いて礼をいう。
「あいあい、何の。もう、お大事になされませ、今にまたあの犬を連れた可厭しいお客がござって迷惑なら、私家へ来て、屈んで居ッさい。どれ、店を開けておいて、いかいこと油を売ったぞ、いや、どッこいな。」と立つ。
十九
帰りたくなると委細は構わず、庭口から、とぼとぼと戸外へ出て行く。荒物屋の婆はこの時分から忙しい商売がある、隣の医者が家ばかり昔の温泉宿の名残を留めて、徒らに大構の癖に、昼も夜も寂莫として物音も聞えず、その細君が図抜けて美しいといって、滅多に外へ出たこともないが、向うも、隣も、筋向いも、いずれ浅間で、豆洋燈の灯が一ツあれば、襖も、壁も、飯櫃の底まで、戸外から一目に見透かされる。