Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lee あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 119.451 caracteres · 236 pantallas

Aozora Bunko

正月頃までは、ちょいちょい嫁の病気を見にいっていた男は、この頃ではすっかり市の方へも足を遠退いていた。湯殿口や前二階で、ひそひそ話をしている二人の姿が、妹達の目にも立つようになって来た。

そんな処に何時までぐずぐずしていないで、早く立って来い。父親の手紙は、いつも同じようであったが、お島の身のうえについて、立っているらしい碌でもない噂が、昔し気質の老人を怒らせている事は、その文言でも受取れた。

「どうしましょう」

お島はその度に、目に涙をためて溜息を吐いたが、還るとも還らぬとも決らずに、話がぐずぐずになる事が多かった。

「御父さんは、私が酌婦にでもなっているものと思っているのでしょう」

お島はそうも言って笑った。

一緒に東京へ出る相談などが、二人のあいだに持上ったが、何もする事のない男は、そこまで盲目には成りきれなかった。市へお島を私と住わしておこうと云う相談も出たが、精米所の補助を受けて、かつかつ遣っている浜屋の生計向では、それも出来ない相談であった。

一里半ほど東に当っている谿川で、水力電気を起すための、測量師や工夫の幾組かが東京からやって来たり、山から降りて来たりする頃には、二人のなかを、誰も異しまなかった。