Clásicos japoneses con furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lee おさん de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 33.128 caracteres · 66 pantallas
そこまで話して、急に作次は参太のほうを見た。いま眼がさめた、といったような眼つきで、自分の持っている汁椀を見、また参太の顔を見た。
「おめえ誰だっけ」と作次は訊いた。
「おさんの兄だ」と参太が答えた、「おさんのいどころを捜しているって、さっき云ったじゃあねえか」
「そうか、――」作次は頭を垂れ、垂れた頭を左右に振った、「おさんなら山谷の棗店にいるよ、男の名は岩吉、まむしという仇名のある遊び人だ」
「どうして捜し当てた」
「忘れちまった」作次は汁椀の酒を飲んだが、酒は口の端からこぼれて、股引の膝を濡らした、「忘れちまったが、おさんのような女の肌を知った男なら、誰だってきっと捜し出さずにゃあおかねえだろう、現に、――そうよ、現に炭屋河岸の長屋へも男が捜しに来た、牛込のほうでおさんとくらしていた男がな、まるっきり白痴みてえになってたが、それでもどこをどう手繰ったものか捜し当てて来た、おさんはそういう女なんだ」
「それであにいは、伴れて帰らなかったのか」
「ああ」と作次は眼をつむり、殆んど聞きとれないくらい低い声で云った、「おれを見たおさんの眼で諦めた、男が邪魔をしたら、叩っ殺してもおさんを伴れ戻すつもりだった、ふところに刃物を隠していったんだが、――おさんの眼は他人の眼だった、おれを忘れたんじゃあねえ、覚えてはいるが、まったく