Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lee おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 74.074 caracteres · 148 pantallas

Aozora Bunko

「うむ、違いない。ここァお稲荷様の境内だっけの」

徳太郎は漸く安心したように、ふふふと軽く内所で笑った。

二

橘屋の若旦那徳太郎が、おせんの茶屋で安心の胸を撫でおろしていた時分、当のおせんは、神田白壁町の鈴木春信の住居へと、ひたすら駕籠を急がせた。

「相棒」

「おお」

「威勢よくやんねえ」

「合点だ」

「そんじょそこらの、大道臼を乗せてるんじゃねえや。江戸一番のおせんちゃんを乗せてるんだからの」

「そうとも」

「こうなると、銭金のお客じゃァねえ。こちとらの見得になるんだ」

「その通りだ」

「おれァ、一度、半蔵松葉の粧おいという花魁を、小梅の寮まで乗せたことがあったっけが、入山形に一つ星の、全盛の太夫を乗せた時だって、こんないい気持はしなかったぜ」

「もっともだ」

「垂を揚げて、世間の仲間に見せてやりてえくれえのものだの」

「おめえばかりじゃねえ。そいつァおいらもおんなじこッた」

「もし姐さん」と、後の方から声がかかった。

「あい」

「どうでげす。駕籠の垂を揚げさしちァおくんなさるめえか」

「堪忍しておくんなさい。あたしゃ内所の用事でござんすから。……」

「折角お前さんを乗せながら、垂をおろして担いでたんじゃ、勿体なくって仕方がねえ。