Clásicos japoneses con furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Lee お律と子等と (おりつとこらと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 25.195 caracteres · 51 pantallas
」
父はさっさとお絹の後から、もう一度梯子を下りて行った。
慎太郎は床の上に、しばらくあぐらをかいていたが、やがて立ち上って電燈をともした。それからまた坐ったまま、電燈の眩しい光の中に、茫然とあたりを眺め廻した。母が父を呼びによこすのは、用があるなしに関らず、実はただ父に床の側へ来ていて貰いたいせいかも知れない。――そんな事もふと思われるのだった。
すると字を書いた罫紙が一枚、机の下に落ちているのが偶然彼の眼を捉えた。彼は何気なくそれを取り上げた。
「M子に献ず。……」
後は洋一の歌になっていた。
慎太郎はその罫紙を抛り出すと、両手を頭の後に廻しながら、蒲団の上へ仰向けになった。そうして一瞬間、眼の涼しい美津の顔をありあり思い浮べた。…………
七
慎太郎がふと眼をさますと、もう窓の戸の隙間も薄白くなった二階には、姉のお絹と賢造とが何か小声に話していた。彼はすぐに飛び起きた。
「よし、よし、じゃお前は寝た方が好いよ。」
賢造はお絹にこう云ったなり、忙しそうに梯子を下りて行った。
窓の外では屋根瓦に、滝の落ちるような音がしていた。大降りだな、――慎太郎はそう思いながら、早速寝間着を着換えにかかった。