Clásicos japoneses con furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lee ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 164.113 caracteres · 332 pantallas
僕はお父さんの書斎から地図を持って来て客間の唐机の上に広げた。平常はお客さんがあると引っ込んでいなければならないのだが、今日は僕が出ていないと用が足りない。斯うやって大人の仲間に入って稍一人前の待遇を受けるのは恐ろしく肩身の広いものだ。真正の職掌は瘤役でも名義は秘書係だから決して冗員ではない。現に最近の旅行案内を買いに雑誌屋まで飛んで行って来た。団さんは大分方々を歩いているようだが、三輪さんは御郷里の熊本へ両三回行った丈けで、それも途中は少しも見ていないらしい。お父さんに至っては子供の時の修学旅行以外一切東京を離れたことがないから箱根から彼方には生蕃がいると心得ている。
「君、熊本には散髪屋があるかい?」
と言った調子だ。
「あるとも。しかし剃刀を持って行く方が宜いよ――彼処は丹毒が名物だからね。何しろ長い旅行だから僕は持って行くものが多くて仕方がない。鞄二個では迚も間に合いそうもない」
と三輪さんが考え込む。
「馬鹿なことを言っちゃ困るぜ。長い旅行だから携帯品は成るべく簡略にするんだ。一体君達は持ち物の相談をするのか旅程の打ち合せをするのか!」
と団さんは二人の注意を地図の方へ呼び戻した。