Clásicos japoneses con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lee さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 210.521 caracteres · 415 pantallas
「おめえにゃあ借りがある」松田は栄二を脇へ呼んで云った、「あのときおめえがこぶのやつを止めてくれなかったら、あのきちげえ野郎がどこまで騒ぎをでっかくしたかわからねえ、野郎はおとよのことがあるから、このおれにも恨みをはらす気だったろう、それがあのくれえのことでおさまったのはおめえのおかげだ、おそまきながら礼を云うぞ」
「忘れてくれよ」と栄二は微笑しながら云った、「おまえさんのためにしたことじゃあねえんだから」
「だろうとも」松田はむっとしたのだろう、その顔が急に赤く、ふくれるようにみえた、「――今夜の酒はおれの礼ごころで眼をつぶる、寄場人足が酒盛りをするなんて、この島はじまって以来の法度やぶりだ、もしも上役に知れでもしたら、このおれなんざ八丈送りになるかもしれねえ、おらあ自分で自分を底抜けのくそ野郎だと思ってるんだぞ」
「心配しなさんな、酔うほど飲ましゃあしねえよ」と栄二はまじめに云った、「なんなら、用心のために松田さんも来ませんか」
松田のふくれた顔が、いっぺんにだらしなくほぐれた。とんでもねえ、仮にも差配役にそんなまねができるかと云い、てれくさそうに去っていった。