Clásicos japoneses con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lee さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 210.521 caracteres · 415 pantallas
「覚えているかい、栄ちゃん」さぶは深い溜息をしてから云った、「十五の年の冬だったっけ、おれが店をとびだして、葛西の田舎へ帰ろうとした、雨に濡れながら両国橋を渡ってると、栄ちゃんが追っかけて来たっけ」
「よせよ、そんな古い話」
「おれが頑固に田舎へ帰るって云うと、栄ちゃんは雨の中をいつまでもついて来て、とうとうおれが店へ戻る、って云うまではなれなかった、――栄ちゃん、どういうわけであんなにまでしてくれたんだい、どうしてだい」
「そりゃあ、おめえが友達だからよ」
「ほかにも友達はいたぜ、店で仲がよかったのは五郎あにい、栄ちゃんのことをずいぶん可愛がっていたし、町内の菓子屋の清ちゃん、畳屋の増さん、みんな栄ちゃんと仲のいい友達だった、おらあその中でもいちばん能なしのぐずで、なんの取柄もねえ小僧だったんだ、そのおれをどうしてまた、あんなに親身になって心配してくれたんだい、どういうわけだい、栄ちゃん」
「だからよ」と栄二は吃った、「おめえはおれの友達だし、葛西のうちの内情も聞いていたからだろうさ、ともかく、おれはおめえに出ていかれたくなかったんだ」
さぶはさぐるような調子できき返した、「青木さんや岡安さんが心配するのも、それと同じことだとは思えないかい、栄ちゃん」