Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lee さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 210.521 caracteres · 415 pantallas

Aozora Bunko

と云うのをがまんした。

そのちょっとまえから、さぶはどこかへ手伝い仕事にでかけ始めた。ぜひと頼まれたもんでと、弁解するように云うだけで、どこへどんな仕事をしにゆくのかは、口をにごして語らなかったが、二、三日するとやって来て、おすえに幾許かの銭をそっと渡すのである。銭か物かは判然としないが、栄二はたぶん銭だろうと思い、けれどそれを見もしないし慥かめようともしなかった。

「大手、搦手だな」と栄二は呟いた、「挾み討ちとこられてはかなわねえ、これじゃあ息が詰っちまう」

二人は栄二に気づかれないようにして、この急場を凌ごうとしているのだ。けれども、気づかれないようにという、かれらの心づかいは、実際にしてもらっていることよりも、栄二にとっては大きな重荷に感じられた。

十月になった或る日、銭湯へでかけた栄二は、湯から出ると家へは帰らず、濡れ手拭をたたんで持ったままあるきだした。どこへゆくというあてもない、二丁目の通りを裏へぬけ、曲り曲りゆくと、入谷の田圃道へ出る。多くはもう刈田で、黒い土に切株の並んだのが、細い道の右にも左にもひらけてい、からすかと思える黒い鳥が、舞いおりたり、急に飛び立ったりしていた。