Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lee さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 210.521 caracteres · 415 pantallas
腰の曲った喘息持ちの祖父、気の弱い父と、男まさりで手の早い母、朝から母と喧嘩の絶えない口やかましい兄嫁、三人いる弟妹と、呑んだくれの兄と、五人もいる甥や姪たち。うす暗く煤だらけな、古くて狭くて、ぜんたいが片方へ傾いている家や、五反歩そこそこの痩せた田畑など。さぶは途方にくれ、しゃくりあげながら、またあるきだした。
「おめえにゃあ田舎がある」いっしょにあるきながら栄二が云った、「どんなうちにしろ帰るところがあるからいい、だがおらあ親きょうだいも身寄りもねえ独りぼっちだ、今年の春、おらあ店を追ん出されるようなことをしちまった、追ん出されるか自分でおん出るか、どっちか一つという、とんでもねえことをしちまったんだ」
さぶはそろそろと振り向いて、栄二の顔を見た。好奇心からではなく、戸惑ったような眼つきであった。栄二はふきげんな、怒ってでもいるような口ぶりで、自分が去年から幾たびか帳場の銭をぬすみ、それを主婦のお由にみつかったのだ、と告白した。
「わこく橋の側の堀っぷちに鰻の蒲焼の屋台が出る」と栄二は続けた、「おらあ蒲焼の匂いを嗅ぐとがまんができなくなるんだ」
通りがかりにその匂いを嗅ぐと、喰べるまでは胃の腑がおさまらない。