Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
たねこのゆううつ
たね子の憂鬱
Lee たね子の憂鬱 (たねこのゆううつ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3606 caracteres · 8 pantallas
そこにはシャツ一枚の男が一人「食堂」の女中とふざけながら、章魚を肴に酒を飲んでいた。それは勿論彼女の目にはちらりと見えたばかりだった。が、彼女はこの男を、――この無精髭を伸ばした男を軽蔑しない訣には行かなかった。同時にまた自然と彼の自由を羨まない訣にも行かなかった。この「食堂」を通り越した後はじきにしもた家ばかりになった。従ってあたりも暗くなりはじめた。たね子はこう云う夜の中に何か木の芽の匂うのを感じ、いつかしみじみと彼女の生まれた田舎のことを思い出していた。五十円の債券を二三枚買って「これでも不動産(!)が殖えたのだからね」などと得意になっていた母親のことも。……
次の日の朝、妙に元気のない顔をしたたね子はこう夫に話しかけた。夫はやはり鏡の前にタイを結んでいるところだった。
「あなた、けさの新聞を読んで?」
「うん。」
「本所かどこかのお弁当屋の娘の気違いになったと云う記事を読んで?」
「発狂した? 何で?」
夫はチョッキへ腕を通しながら、鏡の中のたね子へ目を移した。たね子と云うよりもたね子の眉へ。――
「職工か何かにキスされたからですって。」
「そんなことくらいでも発狂するものかな。