Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Lee ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.788 caracteres · 138 pantallas
「私はまえから、貴方の眼に気がついていました」と老人はやがて云った、「それで、こんなことをうかがうのですが、西沢半四郎という番士の方がおられるそうですね」
隼人は頷いた。
「その方のことはどうなのですか」
「なにか聞いたとすれば」と隼人は重い物でも持ちあげるように答えた、「それはただ、想像から出た噂にすぎない」
「ここでは噂は早く伝わります」と云って老人は隼人を見まもった、「――私は貴方の眼を見て、貴方が噂されるようなことをする人ではない、と思っていました」
それから老人は調子を変えて、隼人の考えていることは徒労に終るだろう、と云った。ずっと以前にも、ここの住民を解放しよう、という意見が出たし、住民たちにも、山をおりて新しい生活を始めるように、と説得したことがあった。しかしそれは、「住民たちによって拒否された」という。かれらは流人の子孫だという、抜きがたい先天的なひけめがあり、長い年月、山で孤絶した生活をして来たために、広い世間へ出ることに深い怖れを感じていた。
「実際にもそのとおりなのです」と老人は云った、「男は十七八になると、たいてい山をおりてゆきます、――これをここでは、ぬける、といっておりますが、おりていった者は消息不明になるか、または生活にやぶれ、年老いて、ただ骨を埋めるためにだけ帰って来る、というよう